数学について思う2,3のこと Part2

個別指導塾の学習空間,八千代大和田・四街道東教室の小西です.

前回の続きから話しましょう.前回読んでいない人はこちらから.↓

数学について思う2,3のこと Part1

③論理力
数学で言う論理的思考力とは,必要十分条件について吟味出来る能力を言います.いきなりですが,中学2年生の連立方程式の問題について深く理解してみましょう.

[問1]以下の連立方程式を解け.
\[x+y=5\cdots ①,x-y=1\cdots ②\]

中学2年生以上であればなんでもない問題でしょう.$\displaystyle \frac{①+②}{2},\frac{①-②}{2}$をそれぞれ計算して,答えは
\[x=3,y=2\cdots 答\]
となります.ちなみに,この連立方程式は加減法でも代入法でも解けます.しかし,次のような連立方程式はどうでしょうか?中堅レベル以上の中3生,あるいは高1生以上は解けると思います.

[問2]以下の連立方程式を解け.
\[y=x+1\cdots ①,x^2+y^2=1\cdots ②\]

取り敢えず解いて見ましょう.

<解答>
①を②に代入し,$y$を消去する.
\begin{eqnarray}
x^2+(x+1)^2&=&1\cdots ③\\
x(x+1)&=&0 \\
x&=&0 or -1\cdots ④
\end{eqnarray}
④を①に代入してそれぞれ$y=1 or 0$を得る.したがって,
\[(x,y)=(0,1) or (-1,0)\cdots (答)\]

高校生であればなんでもない問題です.数学Ⅱを学んでいる人なら,この連立方程式の解が,原点を中心とする半径1の円と,直線の交点として与えられることは既知でしょう.
さて,私はいつも数学を教えるとき人に言いますが,解くだけなら誰でも出来ます.この問題を,ひいては連立方程式というものを正しく理解しているでしょうか.では次の質問に答えてみてください.何分考えても構いません.

<質問>
問2で,④を②に代入してはいけないのか?

結論から言うと,ダメです.その事実は試してみればわかるのでいちいちここで説明しません.問題は「なぜダメなのか?」ということ.問1ならば,代入法で解く際,一方の変数を消去して得られた式は①,②のどちらに代入しても正しい解が得られます.なぜ,問2ではダメなのか.説明していきましょう.まず,そもそも①,②という連立方程式を解くということは,「『①かつ②』を満たす実数$x,y$を求めること」です.もっと正確に言うと以下が成り立つような$a,b$を求めなければならないのです.
\[①かつ②\iff (x,y)=(a,b)\]
つまり,「①かつ②」という命題に同値変形(必要十分な変形)を施して,最も簡単な命題「$(x,y)=~$」にするというのが連立方程式を解くということなのです.

では実際に解法を見て行きましょう.まず,①を②という式に代入して③という式が得られたわけですから,以下の式が成り立ちます.
\[①かつ②\Longrightarrow ③\]
矢印が片方にしか向いていない,つまり必要十分になっていないことに注意して下さい.なぜなら③という式だけでは「①かつ②」という連立式に戻れないからです.これを必要十分にするためには以下のように①を組み込んであげる必要があります.
\[①かつ②\iff ①かつ③\]
①と③を組めば①と②が出てくるのはお分かりでしょう.これで③を①に代入するのはOKなことが分かりました.しかし,ここで②と③を組めばどうでしょうか?
\[①かつ②\iff ②かつ③\cdots ???\]
少し考えれば明らかでしょう.$x^2+(x+1)^2=1$と$x^2+y^2=1$から$y=x+1$はどうやっても導けません.「式の形を見れば$y=x+1$になるしかないじゃないか!」という人,仮にそのようなことが成り立ったとしても言えるのは,
\[y^2=(x+1)^2\iff |y|=|x+1|\iff y=\pm(x+1)\]
ということだけです.符号の違いは絞り込めません.つまり,④を②に代入するのは「論理的にダメだ」ということになります.これを一般化すると以下の命題が導けます.

<命題>以下が成り立つ.
\[y=f(x)かつg(x,y)=0\iff y=f(x)かつg(x,f(x))=0\]

難しいでしょうか??分かりやすく言うと「代入して得られた式は代入『した』式に代入せよ!」ということです.これを『代入法の原理』といいます.めちゃくちゃ大事です.丸暗記しても損はしません.

話が少しそれました.何が言いたかったかというと,連立方程式のような簡単そうに見える問題も必要十分条件が支配しているということです.だから論理的にものを考えることが大事なのですね.

④発想力(要はセンス)
最後の項です.論理も大事だし計算力も大事ですが,なんだかんだ数学はセンスも重要です.よく数学をやってきた人の中には「数学は論理的だから誰だって理解できる.センスなど必要ない」ということを豪語する人もいらっしゃいます.しかし,このセンス.いりませんかねぇ?例えば有名私立中学の入試問題などを見ていると「は?こんなん思いつくわけないやん」と突っ込みたくなるような初等幾何の問題に出くわすことがあります.センス,ひらめきも大事なのです.少し難し目の問題を見てみましょう.ちなみに数学検定1級の問題です.使う知識は数学Iの知識と二項定理のみです.

[問3]
$n$は自然数とし,$(5\sqrt{2}+7)^{2n+1}$の整数部分を$A$,小数部分を$a$とするとき,$(A+a)a$の値を求めよ.

[解答]
$X=(5\sqrt{2}+7)^{2n+1}-(5\sqrt{2}-7)^{2n+1}\cdots ①$とおく.二項展開を考えると,$X$は整数である.ここで,$7<5\sqrt{2}<8$より,$0<5\sqrt{2}-7<1$であることから,$0<(5\sqrt{2}-7)^{2n+1}<1\cdots ②$.
また,①より$(5\sqrt{2}+7)^{2n+1}=X+(5\sqrt{2}-7)^{2n+1}$.$X$が整数で,②より$(5\sqrt{2}-7)^{2n+1}$は少数なので,
\[A=X,a=(5\sqrt{2}-7)^{2n+1}\]
また,$A+a=(5\sqrt{2}+7)^{2n+1}$なので,
\begin{eqnarray}
(A+a)a&=&(5\sqrt{2}+7)^{2n+1}\cdot (5\sqrt{2}-7)^{2n+1}\\
&=&\{(5\sqrt{2}+7)\cdot (5\sqrt{2}-7)\}^{2n+1}\\
&=&1^{2n+1}=1\cdots (答)
\end{eqnarray}

これは初めて見たとき,「嘘やん」ってなりました.論理はあんまり関係ない,発想力が生み出す解答です.
では,発想力を鍛えるにはどうすればいいのか?これは私にはまだまだ答え難い質問です.中高レベルで言えば「良い問題にたくさん出会う」ことが大事だと思います.大学入試レベルで言うといわゆる難関大学の入試問題はいい問題が多いので見てみるといいかと思います.もう一つは,なるべく幼いうちに初等幾何学・初等整数論・組合せ論のどれか一つでもいいからどっぷり浸かることです.この3つがどういうものかよくわからない人はググッてください.

2回に分けて数学における大事な能力についてお話しました.お見苦しい箇所多々あったと思いますが,温かい目で見てください.

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