2015年 12月 の投稿一覧

4:11.37

個別指導の学習空間.八千代大和田・四街道東教室の小西です.

 今年も残すところあと1日となった.今年は大学受験生を多く抱えているので去年よりも気が抜けない日が続いていた.こんな小さな塾で,大学受験の情報量もさほどない僕たちに付いて行こうと決めてくれた生徒たちに恥はかかせられない.明日は大晦日だが高3は13時から24時まで勉強の予定だ.明日も重い体を無理くり起こすためにアラームをセットする.読書の合間に何気なしにiPhoneを取り,指紋認証でロックを外す.『アラームの曲でも変えるか』など思いつつ,午前11時にアラームをセットするためにアプリケーション「時計」を開く.最近はDIR EN GREYというバンドの「予感」で朝は起きることにしている.「時計」を開くと左から2番目のタブ「アラーム」が開いて,右側のバーをONにするだけのはずだった.しかし「時計」を開いて真っ先に出てきたのは左から3番目のタブ「ストップウォッチ」であった.

『4:11.37』

ストップウォッチはこの時間で止まっていた.今日の指導中,生徒の100マス計算のタイムを測ったときのものだ.中1の女の子.最近入ったばかりの生徒で,数学の点数がすこぶる良くない.修正するのは今のうちしかないと思い,入塾当初から100マス計算はやらせている.今日はストップウォッチを忘れてきていたので,僕のiPhoneを機内モードにして「ストップウォッチ」を貸したのだ.僕はアナログでタイムを測るのは嫌いなので必ず生徒にはデジタル表示のものを使うようにしている.刻一刻とタイムが迫ってくる緊張感は,デジタルのほうがあるからだ.ちなみに100マス計算の合格タイムは足し算なら小学校2年生で2分以内.中学生で4分オーバーは明らかに遅い.しかし,そんな生徒も珍しくはない.この子と僕の間の時間は,まだ流れ始めたばかり.『ストップウォッチ』は押さればかりだ.『4:11.37』僕とこの子は,何分何秒まで走り続けることが出来るのだろうか.また,走り切れたとしたらタイムは何分何秒なのだろうか.口唇の端に笑みを作り,そんな事を考えながら僕は,アラームのスイッチをONにした.

千葉の塾なら個別指導の学習空間

基本が出来ているとはどういうことか(ちょっと前の話)



個別指導の学習空間.八千代大和田・四街道東教室の小西です.

 数カ月前の話です.高3の理系のT君が微分の問題を解いていました.合成関数の微分などを使う問題です.その問題を解き終わった直後に僕が思いつきで問題を出しました.次のような問題です.

【問】円$x^2+y^2=25$の点$P(3,4)$における接線の傾きを求めよ.ただし微分法を用いてはならない.

 T君は僕が教えだしてから1年以上経つので,だいたい彼の反応は分かります.この日も僕の予想通りの反応でした.手が止まるのです.5分ほど考えて「わかりません」と言いました.

そこで,僕は次のように言います.「原点から点$P$に向かって線を引きなさい」

そしたらT君は「うわぁ...$-\dfrac{3}{4}$ですね.なんで出てこなかったんだろ」というリアクションをしてしっかり答を出してくれました.T君はまだまだ数学の基本が出来ているとは言いがたい部分もありますが,今回に関しては基本的なことは理解出来ているようです.

少なくともT君が「うわぁ」と言うまでには3つの思考のステップが存在します.

①$OP$と接線は直交するという定理が初等幾何にある.
②直交する2直線の傾きの積は$-1$である.
③$OP$の傾きは$\dfrac{4}{3}$なので,求める接線の傾きは$-\dfrac{3}{4}$である.

そしてT君は微分法によって凝り固まった自らの頭の四角さを猛省するわけですが,ここで「原点から点$P$に向かって線を引きなさい」という指示から①と②を一瞬で引き出してこれるのがいわゆる数学の基礎力だと思います.つまり数Aや数Ⅱで学んだ事項をちゃんと記憶していて,きっかけが与えられれば引き出してこられるということです.
これが基本が出来ていない生徒相手だと①〜③までを事細かに説明しなければいけません.もちろん僕はT君は線分$OP$を書いただけで答まですぐに行き着くと確信していたから上のような指示だけをして他は一切なにも教えませんでした.もちろん本当は自分でこれくらいは引き出して来れないといけないわけですが.

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2015年まとめ

個別指導の学習空間,八千代大和田・四街道東教室の小西です.

2015年も残りあと僅かです.年の瀬に何かしら総括したいなと思って毎年何かしらのトップ10をまとめていまして,昔は音楽好き(年間にアルバムを300枚ほど聴いていました)でしたので今年のアルバムトップ10みたいなのを書いてました.ここ最近は本が好きなので,去年に引き続いて今年も本についてですね.今年読んだ本の中でトップ10を紹介します.ただ,今年「読んだ」ものであって今年発売した本とは限りません.また,数字は順位ではありません.あくまで良かった本10作品です.あと,面白いけど途中までしか読んでいないものは除外しています.

 ①『21世紀の資本』 – トマ・ピケティ (みすず書房)
②『新・数学の学び方』 – 小平邦彦ほか (岩波書店)
③『吉本隆明全集<8>』 – 吉本隆明 (晶文社)
④『暴力の人類史 上・下』 – スティーブン・ピンカー (青土社)
⑤『春宵十話』 – 岡潔 (角川学芸出版)
⑥『教育という病』 – 内田良 (光文社)
⑦『現代文標準問題精講』 – 神田邦彦 (旺文社)
⑧『GS美神 極楽大作戦!!』 – 椎名高志 (小学館)
⑨『完全独学!無敵の英語勉強法』 – 横山雅彦 (筑摩書房)
⑩『文明論之概略』 – 福沢諭吉 (慶應義塾大学出版会)

感想や紹介などは書かないので書店に足を運んだ際に目に止まったら見てみて下さい.

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大学合格とその後

個別指導の学習空間.八千代大和田教室・四街道東教室の小西です.

先日,公募推薦を受験していた高3生から合格の報告を頂きました.生徒が志望校に合格するのはやはりこの仕事をしていて何よりうれしいことです.あとは高校を卒業するまでに大学初年レベルの数学や,大学で学問をやる上での基礎知識を仕込みます.大学受験に合格したからって勉強が終わるわけではありませんからね.むしろ大学受験はウォーミングアップであって,本当の勉強はここからのはずです.

その生徒は理系ですので,取り敢えず合格した日からは線形代数の予習と基本的な数学について学んでいます.線形代数というのは超ざっくり言うとベクトルの「超スゲーバージョン」です.今は新課程になって,指導要領から行列が削除されてしまいましたが線形代数は行列が分かっていないと非常に厳しい分野です.数学の基本中の基本と言っても過言ではないものですので,大学に入るまでに終わらせておくように指示を出しています.

大学に合格しても勉強の灯火が消えない.そんな生徒に育ってくれて本当に嬉しく思います.そういう生徒を育てたいと日頃から指導にあたってきたかいがあるというものです.

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ツルツルザラザラ

個別指導の学習空間,八千代大和田教室・四街道東教室の小西です.

先日,高校1年生の生徒にこんな話をしました.

 まずね,「頑張れば何とかなる」って考えを捨てましょう.色んな人がね,「頑張れば何とかなる,頑張ればいける,頑張れ」って呪文みたいに唱えるんですけど,それは違う.頑張ったって何とかならないものは何とかならないです.君はスポーツやってるから分かると思うけど,いくら練習しても走るの遅い奴は遅いままだし,速くなったとしてもたかがしれてるでしょ?高校入ってからサッカー始めました!とか言ってどんだけ努力しても小学校からサッカーやってる奴には勝てないでしょ?リフティングなんてのは本当に小さいときからボールに触れておかないとちゃんと出来るようにはならんよね.スポーツなら皆わかるのに,勉強になると「頑張れば大逆転出来る」みたいなことを言うのはおかしいでしょう.勉強もスポーツと同じです.どんなに勉強しても出来ない人は出来ないし,勉強してなくても出来る人は出来る.だから「俺はこんなに頑張って勉強してるのに遊んでばっかのアイツに勝てないのはなんでだ...」とかつまらないことで悩んではいけない.そんなことは頻繁に起こるし,君と「アイツ」は違って当然なんです.日本には努力で入れない大学は存在しません.でも,それは「努力すれば必ず行きたい大学に入れる」という意味ではないです.努力したって入れない人は入れません.もっと言うと「努力出来ること」自体が才能なんです.ジェフ・ベックって知ってますか?世界で一番有名なギタリストの1人です.彼はもう70歳を超えていますが,今でも仕事が忙しくない日は一日中ギターの練習をしているそうです.もう人生あと2〜30年で,その間何もしなくても裕福に生きていけるだけの金もあるのにですよ.努力しなくても出来る人は出来ますけど,努力出来ることだって才能なんです.君はそんなに努力はしたことないでしょ?僕も偉そうなこと言いながらそんな努力はしたことないです.だからって「俺なんか駄目だ」って諦めてはいけません.諦めろって言ってるんじゃないです.まずは自分と他人は違うということを理解してねと言ってるのです.差はあって当然で,じゃあそれをどれくらい埋めれるかとかを考えないといけない.

 もう1つ.入試に限って言うと,人を相手にしてはいけない.人はそれぞれ違う.出来る人も出来ない人もいます. 小学校から大学受験を目指して勉強してるような連中に君が勝てるはずはないのは当然です.自分よりはるか高みにいる人を抜こうと思って1年勉強したとしても,連中も1年勉強しているので差はなかなか縮まりません.ほとんどの場合は無理です.で,さっき言った「違い」を理解していないとどんどん卑屈になる.「俺はこんなに勉強してんのに...」ってなってしまう.卑屈になればなるほど勉強は上手くいかなくなる.悪循環です.なので考え方を変えましょう.どんな奴が相手だろうと,入試問題が解けさえすれば合格できるわけです.君の相手は抜けそうもない「アイツ」ではなくて,志望校の入試問題です.「アイツ」は君が学んだ分だけ学ぶでしょうから,差は縮まりませんが,入試問題は人じゃないので成長しません.ゴールが見えています.やればやるだけ近づくことが可能です.もちろん,「アイツ」に勝ちたいという欲求は否定しません.そのほうが勉強に活気が出るなら大いに結構.でも「アイツ」を意識したって入試には受かりません.大事なのは入試問題を解くことです.これからはそういう視点で勉強していって欲しいと思います.目標を見失わずに.しっかり狙いを定めて.今の君が目指すのは,人に負けても勝っても芯がブレずに,志望校の問題を解けるようになることを夢見て勉強する受験生の姿です.ちょっとずつちょっとずつで良いので,そういう意識で勉強に向かってくれたら良いなと思います.

「頑張ればなんとかなる」と思っていた生徒にとっては起爆剤になったようです.有り体の言葉は響きが良いです.「頑張ればなんとかなる.君の可能性は無限大だ」なんて言葉はいい言葉です.でもちょっと綺麗すぎて表面がツルツルです.触りやすいですが,触ってもすぐに滑ってしまう.その生徒に向けて,体裁を整えず自分の中からまっすぐに出てきた言葉というのは,表面はヤスリのようにザラザラしています.当然触ると痛いです.しかし,しっかり噛み合えばなかなか離れない.離してくれない.そんな言葉を生徒に投げかけることが出来れば.そう思って僕は本を読み,言葉を探しています.

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Twitterについて

個別指導の学習空間,八千代大和田教室・四街道東教室の小西です.

 Twitterやってる人ってどのくらいいますかね?結構な数の人がやっていると思います.140字で思ったことをつぶやくという新しい形のSNSです.さて,Twitterを見ているとそこかしこで議論めいたことをやられている人が数多くいます.Twitterで議論をするのは一向に構わないのですが,私自身はTwitterは議論には向いていないと思います.それも圧倒的に.なぜTwitterは議論に向いていないかということについてTwitterの特徴を話してから,話していきます.

①Twitterは現在を微分する
 Twitterの一番の特徴は芦田宏直先生の言葉を借りると「現在を微分する」ということです.どういうことかといいますと,例えばブログで今日食べたラーメンのことを書くとします.おそらくラーメンを昼に食べたら,そのことをブログに書くのはその日の夜以降ですよね.ブログには体験してから書くまでの間にかなりの時間差があります.しかし,Twitterではどうでしょう.ラーメンを食べたその場で「池袋でラーメンなう.ここのラーメンめっちゃ美味しい!」とかなんとか書いて写真と一緒にTweetすればおしまいです.これはかなりリアルタイムな情報です.ブログだと半日~の時間差があるのに,Twitterでは「ラーメンなう」とつぶやけばその人は今まさにラーメンを食べているのでしょうし,「渋谷なう」とつぶやけばその人は今まさに渋谷にいるのです.このようにTwitterは「現在」という時間を細切れにしてウェブ上に載せてしまいます.これを「微分する」と表現しているわけです.
 また,Twitterが微分するのは時間だけではありません.Twitterはその性質上,人間の心的現象をも微分してしまいます.Tweetする瞬間瞬間の気持ちをも細切れにしてしまうということです.一瞬でも「何か気分が悪いな」とか「こいつウザいな」と思った時にしたTweetにはかならずその気持ちが乗ります.これはもうどうしようもないことです.防ぎようがありません.Twitter上で会話をしていて一瞬でも「こいつ腹立つな」とか思って返信したならそれが圧倒的に言葉に乗ってしまうのです.Twitterは時間的にだけではなく,心的にも現在を微分するツールだといえます.

②表出した感情を捉えきれない
 しかし,Twitterでは心的な要素が言葉に乗ってしまうにも関わらずそれを見る側が感知することが出来ません.なぜならば,Twitterは現在を微分してしまうからです.微分されてしまった心で他人のTweetを見てもそこから相手の心的要素を感知することは出来ません.あくまで微分された断片的な自分の心的要素を介してしか相手の言葉を解釈できないのです.面と向かって話しても相手の気持ちは100%分かるわけではありません.しかし,会話というのは相互に思考をしますし,相手の表情や体の動きなどの言葉以外のメタな情報から心的現象を察することが出来ます.ブログなどではそれが文字のみになってしまうので,それは難しくなります.しかし,ブログの場合は書くまでに時間をかけますから,その推敲の段階で書き手の心的要素は綺麗に磨かれていきます.なので,あまり気にかけるひつようもないわけです.しかし,Twitterはあのスピード感のせいで,心的にも現在を微分してしまいます.ですのでTweetにはその要素が多分に介在してしまう.しかし,こちらも同じ条件でみるのでそういったものを感じ取ることが一層難しくなってしまうというわけです.

 この2点がTwitterの抱える矛盾だと思います.つまり,Twitterは心的要素を多分に盛り込んでしまうが,それを受け取る側は感知できない.ということです.ですので僕はTwitterでは議論めいたことをしませんし,するつもりもありません.のほほんと気楽につぶやいていれば良いのです.ちなみに,電子機器をきちんと使える生徒にはTwitterの使用は推奨します.140字で文章をひねり出さないといけないので,それなりに文章力が鍛えられると思うからです.

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