同値性

高校数学ミニ講座〜真面目にサボる対数方程式〜

個別指導の学習空間,八千代大和田・佐倉臼井教室の小西です.

先日Twitterでつぶやいたものの焼きまわしです.

(1)xの方程式log_2 x=3を解け.

まず解いてみましょう.

ほとんどの高校生はこう解いたはずです

まず,真数条件からx>0,この下でlog_2 x=3⇔x=2^3=8.これは真数条件x>0を持たす.よってx=8.

もちろん正しい解答です.しかし少し考えてみましょう.すなわち「真数条件に反する解が出てくることはあるのか」ということです.

まず対数の定義に立ち返ってみます.a>0のとき,log_a b=cの定義はa^c=bです.つまりlog_a b=c⇔a^c=bということ.式の形を見れば明らかですが,必ずa^cは正,つまりそれと等しいbも正であることが定義より言えます.

ではもう一度対数方程式に戻ってみますと,log_2 x=3という方程式は対数の定義より2^3=xと同値です.log_2 x=3⇔2^3=xです.右側の式に着目すれば分かると思いますが,底が2(>0)ですので必ず最右辺のxは正になることがわかります.

つまりこの場合は真数条件x>0は「必要ない」ということになります.定義から真数部分は正になることが分かっているからです.少し式の形を変えてみます.log_3 (x-1)=2という式を考えます.この方程式も対数の定義より3^2=x-1と同値であり右辺のx-1は正になることが言えます.

では次の方程式を考えて下さい.

log_2 x +log_2 (x-3) =3

普通の解答では,真数条件としてx>0かつx-3>0からx>3の下で式変形をしていきます.ここでは真数条件は考えなければいけないのですが,実は両方の真数条件を考える必要はないのです.

では真数条件を取り敢えず置いといて,同値な変形になるかどうかを見ていきましょう.

log_2 x +log_2 (x-3) =3…①
log_2 x(x-3)=3…②
x(x-3)=2^3…③

③以降は普通の2次方程式なので省略します.②と③は同値です.対数の定義ですね.では①と②はどうでしょうか.

①が式として成立するためにはx>0とx-3>0の両方が必要です.ですが,②が成立するためにはx(x-3)>0が成り立てば良い.x(x-3)>0は「x>0かつx-3>0」または「x<0かつx-3<0」と同値ですので,②が成り立つからといって①が成り立つわけではありません.①が成り立っていれば②は成り立ちますね. つまり①⇒②は言えるが,②⇒①は言えない,ということです.では②⇒①が言えるためには何が言えなければならないか.②は「x>0かつx-3>0」または「x<0かつx-3<0」ですのでここから「x>0かつx-3>0」だけが成立するためには条件として何が適切か.

答は「x>0またはx-3>0」が成り立てば良いですね.2つの数をかけて正,かつ片方が正ならもう片方も正になるしかありません.つまり②⇒①を成り立たすためには,条件として「x>0またはx-3>0」が付け加われば良い,ということになります.

ということは,今までは真数条件としてx>0かつx-3>0を考えていたわけですが,本当はx>0かx-3>0のどちらか一方が成り立てば良いのです.強調して言うと,x>0とx-3>0のうちの「弱い方の条件」のみを加味すれば正しい解を導く上では問題ないということになります.

「結局どっちも考えたほうが確実でしょ?」と言われそうですが,まぁもちろんその通りなのですが,こういった簡単な例でちゃんとものを考えるという練習をすることは極めて教育的だと思われますし,機械的に方程式を解くよりは幾分か有意義であると思います.

千葉の塾なら個別指導の学習空間

ちょこっと整数ランド(高校数学)



個別指導塾の学習空間,八千代大和田教室・四街道東教室の小西です.

 今日は素数について簡単なことをいくつか書きます.では素数の定義から始めましょう.なお,以下で「数」と言った場合それは「自然数」を指すものだとします.

【定義】2以上の数であって,その約数が1と自分自身のみであるときそれを素数という.素数でない数を合成数という.

 1と自分自身は必ず約数になるので,それを「自明な約数」と呼ぶことにすれば,素数とは自明な約数しか持たない数,あるいは非自明な約数を持たない数ということが出来ます. 上の定義から「2以上の」という文言を外すと,1も素数の定義を満たすことになります.しかし1を素数に入れてしまうと都合が悪い.その理由は素因数分解にあります.例えば360という数を素因数分解(ある数を素数の積で表すこと)すると,
\[360=2^3\cdot 3^2\cdot 5\]
となります.これは素因数の積の順番を除けば一意に決まります.つまり360という数は「2を3回,3を2回,5を1回掛けあわせた数」と定義できます.僕はよく素因数分解を「数の性格が見える」と言いますが,360と書くより「2を3回,3を2回,5を1回掛けあわせた数」と書いたほうがなんとなくその数のことを分かってあげられた気がしませんか?このように素因数分解というのは任意の数に対して一意に決まります.これは素因数分解の一意性と言って,初等整数論では証明を要する定理なのですが,中高生には感覚的に成り立つでしょ?って説明でおしまいにされています.なのでここでも証明はしません.気が向けばいつか書くかもです.

 さて,もしここで1が素数だとしたらどういう事が起こるかというと

\begin{eqnarray}
360&=&2^3\cdot 3^2\cdot 5\\
&=&1\cdot 2^3\cdot 3^2\cdot 5\\
&=& 1^2\cdot 2^3\cdot 3^2\cdot 5
\end{eqnarray}

などが全て360の素因数分解という事になってしまいます.これでは素因数分解の一意性が成り立ちませんので非常に都合が悪い.ですので,1は素数から省くようになっています. 僕は教える時は最初から1を省けるように「素数とは,約数をちょうど2個持つ数の事である」と教えることがあります.1の約数は1の1個だけですから,この定義だと自然と1を素数から除外することが出来ます.

 素因数分解の一意性が使われる証明で有名なものと言えば,数I(旧課程では数A)で習う$\sqrt{2}$の無理数性の証明です.

【問】$\sqrt{2}$が無理数であることを示せ.

【証明】$\sqrt{2}$が有理数であると仮定すると,$\sqrt{2}=\dfrac{q}{p}$($p,q$は整数で$p\neq 0$)とおける.両辺を平方し,分母を払うと
\[2p^2=q^2\]
となる. この式の両辺で,素因数2の個数を比べると,左辺は奇数,右辺は偶数となり素因数分解の一意性に矛盾.よって$\sqrt{2}$は無理数である.[証明終]

 この証明はちょっぴり高尚なので通常の教科書には出てきませんが,メリットとしては$\sqrt{2}=\dfrac{q}{p}$と置くときに,$pとq$が互いに素だという仮定をしなくてもいいところです.

 さて,この素数ですが実は無数に存在します.これから述べる証明はEuclidによるものです.

【問】素数が無限に存在することを示せ.

【証明】素数が有限個しかないと仮定し,最大の素数を$p$とおく.今,
\[N=2\cdot 3\cdot 5\cdot \cdots \cdot p+1\]
という数を考える(すべての素数の積に1を加えた数). $N>p$なので$N$は素数ではない.しかし$N$が合成数だとすると,$N$は何らかの素数で割り切れないとならないが,$N$はどの素数で割っても1余る.よって矛盾が導けるので,素数は無数に存在する.[証明終]

 この証明,色んな書き方がありますがよくある勘違いとしては,「$N$はすべての素数で割り切れないので素数である」と書いてしまうことです.そこより小さい素数で割り切れないから素数かというとそういうわけでもなく,例えば
\[2\cdot 3\cdot 5\cdot 7\cdot 11\cdot 13+1=30031=59\cdot 509\]
です.

 この証明の偉大な点は,素数の無限性に疑いを持ったということではないでしょうか.もし人類が素数は無数にあるという仮定から出発していたら数学の発展は著しく遅れていたと言われています.

 今日はこのへんにします.あんまり内容ないですねw高校数学をちゃんとやっている人からしたら当たり前のことばかり書いています.しかし,自分たちの中では当たり前でも,意外と世間一般では当たり前でないことというのも多いと思いますので何かしら書いていきます.

千葉の塾なら個別指導の学習空間